みなさまこんにちは!
設計担当の石堂です。
先日、日本防災協会の木造耐震診断資格者講習に参加してきました。
木造耐震診断資格者は、その名の通り既存の木造建築物の耐震診断を行う人の事です。
当社でも、お客様からのご要望や、
耐震性に不安が残る建物のリフォーム工事前に耐震診断を行います。
講習のなかで2016年の熊本地震についてデータの説明がありました。
熊本の地震では大規模な地震が複数発生したのが特徴的です。
前震と本震は震度7を超え、本震は兵庫南部地震(阪神淡路大震災)の揺れを超える地域もありました。
その被害状況が下の表のようになっています。
建物の建てられた年代別のデータになりますが、
1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)に耐震基準が大きく変わっていますので、
それに合わせる形で分類されています。
1981年以前に建てられた建物、いわゆる旧耐震基準の建物は、約45%が大破・倒壊・崩壊しています。
また、1981~2000年に建てられた新耐震基準の建物も、約18%が大破・倒壊・崩壊しています。
新耐震基準の建物でも、2000年以降の基準の建物と強度の差があるのがグラフから見て取れます。
これは、建物自体が劣化していたり、新耐震基準の建物でも十分な耐震性能を有していない建物があるからです。
また、まれではありますが、現場によっては確認申請時の図面と、
実際の建物の耐力壁の配置が違っていることもあるため、それも原因になっているかもしれません。
私たちが耐震診断を行うときに、評価の指標として上部構造評点を算出しますが、
この数値が1.0以上となると2000年以降の耐震基準と同等程度の性能になると言われています。
上の図のようなメカニズムで倒壊が起こります。
ここで重要なのは、地震の揺れによって建物が押し倒されるように倒壊するのではなく、
揺れによって建物の傾きが限界を超えると、建物の自重によって柱が折れたり、柱の接続部が破断して建物が倒壊するということです。
そのため、私たちが耐震補強の計画を立てるときは、
・水平にかかる地震力に抵抗するための耐力壁を増やす。
・耐力壁によって建物の強度の偏りが出ないように耐力壁を平面上バランスよく配置する。
上記の点で、地震時の建物の傾きを小さくするとともに、
・耐力壁を増やすとともに柱を増やす。
・金物等により適切に柱の上下の接続部を補強する。
など、躯体が十分に建物を支えられる事に重点をおきます。
また、建物自体の重量を減らすために屋根を軽い材料に葺き替えたり、
計算通りの耐力がでるように、シロアリ等によって被害を受けている構造材は入れ替え、補強するようにします。
ここまで書くと大掛かりになりそうですが、実際に補強計画をたてるときは、
間取り変更や設備の入れ替え時に耐震補強を行ったり、
補強だけをお考えの場合は押入れやクローゼットなどあまりほかに影響のない部分を補強したり、
外部側に壁や柱を増やすことで生活に影響のないようにすることで、
できるだけコストが抑えられるように計画します。
大規模な地震はいつ起こるかわからないのが現状です。
もし、耐震にご興味がある方は当社担当者までご連絡ください。
以上、講習に行って耐震改修の重要性を再認識した石堂でした。
ご質問やお問い合わせは、ぜひこちらまで。
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