動画紹介
介護保険を利用した住宅改修7つのポイント
今回は「介護保険を利用した住宅改修」の知ってほしい7つのポイントについて、ご説明していきます。
今回の動画では姫路市の事例をご紹介します。市町村によって細かいところは違いますが、大枠は一緒だと思いますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
本制度を利用できる対象者は、要介護・要支援認定を受けた方です。自宅で安全に自立した生活を送るために行なう住宅改修にかかった費用の一部が、国から支給される制度になっています。
ポイント1は、対象となる工事の内容です。手すりの取り付けや段差解消、床または通路面の材料変更。例えば、和室(畳)に介護ベッドを置きたいので、フローリングに変えたいという時の工事も対象になります。あとは引き戸等への交換です。ドアだったら前後移動がありますよね。引き戸や折れ戸なら止まったまま開け閉めができます。そういった交換工事も対象になります。あとは、洋式便器等への交換です。和式は屈んでするのが大変なので、洋式便器に交換したいという方も対象になります。
これら5つの工事に付随・付帯する工事も対象です。例えば手すりの取り付けだったら、取り付けたい所にすぐ付けられる時はいいですが、下地がない所には付けられません。「手すりを付けるために下地を入れる工事」が、付随する工事に含まれます。
ポイント2は支給額です。20万円の枠があります。このうち、自己負担額の割合は1~3割です。認定を受けた方は、介護保険負担割合証が併せて発行されていると思います。割合はそちらに記載されていますので、ご確認ください。
支給例として、1割負担の方が30万円の改修工事をされた場合をご説明します。20万円の枠の1割、つまり2万円が自己負担額になります。また、20万円の枠をオーバーした10万円がそのまま自己負担分となるため、合計12万円が自己負担金額となります。まとめると、30万円の工事が、実質12万円でできるということです。
また、20万円の枠は、分割して利用が可能です。今の例は一気に20万円の枠を使い切った場合ですが、例えば手すりを1~2本付けるだけなら掛かる費用は5~6万円です。残り14万円分は違うタイミングで、段差解消に使ったり、手すりをもう1本追加するなど、20万円の枠の中であれば分割して利用できます。
ちなみに、改めて20万円を利用できるケースもあります。1つ目は転居された場合です。ご自宅から娘さん・息子さんのお家等に引越しされて同居される場合、改めて20万円の枠を使って転居されたお家の介護・住宅改修ができます。
2つ目は、介護状態区分が3段階以上上がった場合です。要支援には1・2、要介護には1・2・3・4・5という区分があります。要支援と要介護の段階を並べた時、要支援2と要介護1が同等の区分レベルになります。
例えば、要支援1の方が3段階以上上がるということは、要介護3以上に上がることになります。要支援1の方が要介護3以上になった時、また改めて20万円の枠が使えるということです。
ここで補足ですが、そういった要介護認定を受けるまでの流れも簡単にご説明します。まずは自治体の介護保険担当窓口へ申請してください。この申請をすることから始まります。ご自身でもいいですし、ご家族様や地域包括センターの方がされても大丈夫です。
次に、市町村から自宅への訪問調査が行われます。自宅でどういった生活をされているのかの確認・調査です。そして、かかりつけ医がいらっしゃる場合はかかりつけ医に意見書の作成の依頼が行なわれます。その上で、市役所の一次審査・二次審査を経て、決定という流れです。これも予備的に覚えておいてください。
続いて、ポイント3は手続きの注意点です。いざ申請する時の注意点がありますので、説明していきます。まずは、必ず工事前に「介護保険を使った改修をします」という申請をしてください。工事が始まってから「これ使えるんや!」と思っても受け付けてもらえませんので、十分に注意してください。
あとは、工事前に必ずケアマネージャーさんや地域の施工業者さんに相談をしてください。ケアマネージャーさんだったら、例えば手すりを1本付けるにしても「○○さんだったらここにあった方がいいんじゃない?」とか、アドバイスをしてくださいます。
施工業者さんについては、不慣れな業者さんも中にはいらっしゃいます。そういう業者さんに依頼された時は、申請が行ったり戻ったりして時間がかかる場合や、手すりの位置を間違えやすかったりする場合も無きにしも非ずです。なので、介護改修に慣れた業者さんを選ばれることをおすすめします。
ポイント4は、いよいよ申請していく流れについてのご説明です。まずは、必ず工事前に事前申請を行ってください。事前申請が受け付けられると、市役所から「事前申請が完了しましたよ」という連絡が約1週間後ぐらいに入ります。それを受けてから着工する流れになります。
予定通り着工して、工事も無事終わったら、次は事後申請です。取り付ける前・取り付けた後の写真などを報告したり、必要な書面を提出します。事前申請・事後申請は、慣れた業者さんなら必ず代行して、申請自体も役所に出向いたりしてくれると思いますので、ぜひ慣れた業者さんを見つけてください。
事後申請が受け付けられると、いよいよ補助金支給になります。ここは少し時間がかかって、大体2~3ヵ月後の月末に振り込まれます。ここも参考にしておいてください。
ポイント5は、事前申請に必要な書類です。それぞれの書類を誰が書いて、誰が準備するのか。まず「住宅改修事前申請書」は、保険者様の名前・介護保険の番号・施工業者の情報などが必要なので、ご自身・ご家族の方・工務店側など、それぞれ関係する人が記入していく書類になっています。
次に、「住宅改修が必要な理由書」が必要になります。「手すりがここにこういった理由で必要です」ということを書いていただく、重要な書類です。これは誰でも書けるものじゃなくて、有資格者のみが作成できます。担当のケアマネージャーさんに書いていただくことがほとんどですが、ご担当者さんがいらっしゃらない場合は、住環境コーディネーター2級以上を取得されている方に書いていただきます。
それぞれの書類は書式が決まっていて、各市の窓口やホームページからダウンロードしていただいて書いていただきます。
次に、「見積書の原本(被保険者氏名のもの)」や「工事予定箇所が判別できる写真(撮影日入り)」や「平面図(場合により立面図)」は、ほとんどのケースで施工業者が準備します。当然、見積書は施工業者が作ります。工事箇所の写真は、ご自身でも用意できるかもしれませんが、施工業者がするケースが断然多いです。図面もそうです。
ポイント6は、工事完了後に必要な書類です。「住宅改修費支給申請書」は、事前申請の書類と同じように、市の窓口やホームページからダウンロードできて、ご自身や施工業者が協力して書く書類になります。
この他に、「領収書の原本(被保険者氏名のもの)」「請求書の原本」「工事改修後の写真(撮影日入り)」があります。これらは、施工業者がお客様に対して請求書を発行した原本をとってもらったり、実際にご入金いただいてその金額が記載された領収書の原本を発行して、それをお預かりしたりします。改修後の写真も、撮影日入りで撮ってまとめて1つのファイルにして、市役所に提出します。
このように、施工業者が準備する書類は結構膨大にあります。慣れていないと行ったり戻ったりすることになるため、何度も言いますが、なるべく介護保険取扱のある業者さんに相談をするようにしてください。
最後のポイント7は、2通りの支給方法についてです。まず1つ目は償還払いと言って、被保険者様が施工業者さんに工事代金を支払った後、市から被保険者さんに住宅改修額の7~9割を支給します。何割になるかは、前に言った介護保険負担割合証で確認していただけます。
2つ目は受領委任払いというもので、これは市と合意を結んでいる業者に限られた支払い方法になります。被保険者さんが施工業者に1~3割の自己負担額分を支払った後、市から施工業者に残りの7~9割を支給してもらうという支払い方法です。
償還払いは全額がお財布から出ていくので、手元からお金が一旦なくなります。受領委任払いの方は、1~3割の費用しかお財布から出ていかないので、こちらの方が家計には優しいかなと思います。
受領委任払いは、市と合意を結んでいる業者のみ可能な方法なので、そういった業者さんは介護のための改修に慣れている業者さんでもあると思います。もちろん当社も締結をしていますが、市と合意を結んでいる業者さんを探されるのも、この制度を利用するポイントかなと思います。
繰り返しになりますが、この制度は、介護認定を受けていらっしゃる方が自宅で安全に自立した生活が送れるように、工事費を一部支給する制度です。「今はまだ元気だから何もしなくて大丈夫」じゃなくて、早め早めに検討していただき、ケアマネージャーさん・頼りになる施工業者さんを見つけてもらって、対策されることをおすすめしています。ぜひ参考にしてみてください。